ふむブログ

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Yahoo!やGoogleが実践する1on1-失敗しない実践方法とモチベーションについて

チーム

ふむです。

本記事では私が管理職になってから実践している「1on1」について実施方法や工夫している点について書いていきたいと思います。

 

 

現在の私は、8名ほどのメンバーまとめているグループ長という立場にいます。そこで、グループメンバーをもっとよく知りたい、私をもっと知ってほしいという思いから1on1を勉強し実践しようと思いたちました。

何回か1on1を実施した際、とあるメンバーから「そう言ってもらえると本当に助かります。見ていてくれて本当にありがとうございました。」という声をもらい、純粋にコミュニケーションが不足したいた事に気づきました。またこういった思いを汲み取れることで、当人のモチベーション低下や、それによる生産性低下、急な退職といった負のスパイラルを低減できるのではないか?ということに関心を持ち1on1について工夫するようにしています。

1on1の実施にあたり、私が非常に参考にさせていただいた書籍である、世古詞一(せこのりかず)さんの「シリコンバレー式 最強の育てて方」)もご紹介させていただきます。引用部分は「シリコンバレー式 最強の育てて方」から抜粋(若干文書はサマリしています)させていただいてます。

 

 

1on1とは?

一対一によるコミュニケーションの場・時間を指し、対面・TV会議・電話など手段は様々。Yahoo(ヤフー)やGoogle(グーグル)といった成長を続ける企業でも取り入れていることで有名です。

1on1を実施する目的と背景とは?

成長


「あなた」と「わたし」の成長のための理解し合う場であり、これは上司と部下といった上下関係にとどまらず、同期・チームメンバー、しいてはビジネスパートナーとの関係に置いても言えるもの。個々人の成長・市場価値の向上を行い、今のチーム・組織の総合力を底上げしていくことを目的とする。

 

How Google Worksにこんな言葉があるそうです。

「事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。だからカオスこそが理想の状態だ。そしてカオスのなかで必要な業務を成し遂げる唯一の手段は、人間関係だ。」

昨今は変化が激しい時代であり、だからこそコミュニケーションの仕方を改善し、暗黙の了解や、阿吽の呼吸、空気を読むといったこれまでの日本人の仕事上の美的感覚を止め、一歩進んで行くための実践ツールにもなると思います。

 

そもそも、以下の様な背景から、より1on1としてコミュニケーションを行っていく重要性が増してきていると「シリコンバレー式 最強の育てて方」でも言われています。

個人への着目

報告・情報交換にとどまらず、個人に焦点を宛てた長期的な目線での成長・改善、また心身の健康状態、達成感や成長実感の獲得にむけた対話を行う。

従業員感の壁を低くする

行き過ぎた成果主義=個人成果より組織成果が優先されすぎてしまった結果、従業員間の壁が高くなりすぎる問題がある。

コミュニケーション手段の変化

オフィス内のすぐ近くの席同士で仕事をしていたが、テレワークの推進に伴い、口頭→TEL→メール→チャット・SNSへと手段が代わり、情報交換過程を知りにくい。

従業員個人との共生

安定給与・昇進・終身雇用が守りにくい状況に対し、より企業は従業員を個人として尊重して共生していく必要が出てきている。


年次評価では遅すぎる

激しく早すぎる環境変化に対応しきれなく、もっと細切れの目標・進捗・行動のフィードバックからのメンバーの評価・納得感を高める必要がでてきている。事実としてGE/Google/Microsoftといったグローバル企業は年次評価をかなり前段階から廃止している。 

1on1が行われにくい理由とは?

苦手

私も、目的や背景を考えると実施に向けた意欲は高かったのですが、一方で億劫になる場面も多々ありました(言い訳ですが。。。)。

理由は、「シリコンバレー式 最強の育てて方」にいくつかありますが、私は特に以下の点が大きい弊害(心の)でした。

1.時間が取れない

純粋にプレイングマネージャの死活問題であり、組織の問題も多分にあるが、時間が取れない。これは本当に言い訳ではあるものの、月30分~1h程度も自分のグループメンバーに時間を割けないと言うのは情けなく・寂しいこと。ここは意を決するしかないと思って時間をやりくりしました。

2.嫌な思い出がある

大抵の社会人には経験のある「上司の過去の自慢話」「良くわからない説教や指摘」「無駄とも思える惰性的な会話を永遠と話す」といった苦い経験。自分がしてしまうのではないか?本当は相手にそう思われてしまうのではないか?という不安や恐れはありました。なので、1on1には必ずその会の目的や方向性・時間厳守とファシリテーションを意識しながら実施することを心がけています。

 

その他「めんどくさい(興味がない・無駄と思っている)」「苦手意識(聞いてしまうとなにか対処しなければならないため、聞きたくない)」といったものもあります。

1on1の効果とは?

最初のたった一回・二回の面談でも相当効果があるというか、コミュニケーションが不足したんだなと気付かされます。私が現時点で総合的に以下の効果を実感しています。

1.自律的な行動への促進

これは、自律的な行動=考え・提案し・承認を得て・行動を起こし・結果を評価するといった当たり前の仕事のサイクルがより見えるようになりました。仕事柄、計画した案件アサイン以外にも自分でIssueを見つけて行動することが望まれます。これらが少なくとも私に対し見えてくる・聞こえてくるようになり結果、評価やフィードバックも可能となり、「本人の納得感」や「見てくれている」といった欲求に答えられる様になってきたと思います。

2.ミーティングが細かく、端的になり結果、トータルの時間は短くなる

早め軽めのコミュニケーションにより、後々大きな方向性の間違いや修正が少なくなるので結果として全体的に良い方向に向きます。(ただし、全てが決められたことで、線路に乗れば終着地点に行き着くような仕事はそもそも仕組み化により単純化、機械化することが必要だとは思います。)

 

その他「シリコンバレー式 最強の育てて方」では、信頼関係の構築、心身不調の早期発見、評価査定への納得感向上、仕事への空きを解消しチャレンジングになる。といったことが挙げられていますが、私が上げた「自律的な行動への促進」にすべてつながるものと考えると、いずれに対しても効果があったのだろうと推測します。

1on1の取り組み方とは?

前提となる「ステージとテーマの考え方」と「プロデュース」について説明します。

「ステージとテーマの考え方」については、ポイントを紹介し、詳細について「シリコンバレー式 最強の育てて方」で是非確認していただきたいと思います。

「プロデュース」については、私が気をつけている実施準備・実施内容についての手続きポイントをご紹介します。

 

「ステージとテーマの考え方」

まず、土台である信頼関係づくりステージで必要テーマ3つを毎回1on1で取り扱っていきます。次に、成長支援ステージとして4つのテーマを会毎に分けながら実施していきます。

信頼づくりステージ

プライベート相互理解

説得や自分の納得では無く「共感」を優先。結果としてプライベートを話してもらえるような関係の構築を行いたいというスタンスで望み「心理的安全性」の確保をしていく。また「返報性の法則」というものがあり、自分からも徐々にプライベートも含めた話をすることで相手もプライベートを徐々に話してくれる様になってきます。がしかし、いきなりぶっちゃけすぎで引かれないようにすることも重要です。

心身の健康チェック

当人が自分自身の心身に問題がある。と自覚したときはもしかするとすでに、かなりまずいところまで症状が進んでしまっている可能性もあります。1on1を通して、定期的にどのような状態で働いているのか?体調・メンタルの状態を業務量、本人・他メンバーの意見から互いに認識し合うことが重要です。意外と自分の状態と傍から見た状態は乖離があるという頭で望むことになります。

モチベーションアップ

一つは「傾聴」をすることです。指摘やアドバイスは実は上司のモチベーションアップであり、そこをグッとこらえる。話を丁寧に聞き、質問を行いながら深堀りをして当人自身で整理してもらうだけでも効果があると感じています。これはモチベーションのマイナス面を最小化する行為になります。

また、二つ目として、事実をありのままに認め、メンバーにちゃんとあなたを見ています。ということに気づいてもらうことです。褒めちぎるのではなく、例えば、最後までやりきったことや、効果があったこと、他のメンバが間接的に助かっていたことなどについて事実をそのまま認めそれを明確に伝えることです。これはモチベーションのプラス面を最大化する行為になります。

成長支援ステージ

ここでは、1on1で具体的に話していくテーマとなります。4つのテーマとなりますが、全体的には「短期的ではなく長期的」「表面的ではなく内在的」な側面で話していくことがポイントと感じています。

業務・組織課題の改善

「7つの習慣」という世界的に有名な本の著者であるスティーブン・R・コヴィー氏が提唱したタスク管理法である緊急と重要のマトリクスのうち、重要度が高く緊急度は低いものを1on1ミーティングでは取り扱う。Bの部分の改善をメンバーと話すことで、より未来志向の改善が可能になという話があります。

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緊急と重要のマトリクス

 私はこのテーマの際のポイントとして、予算・体制をかけてやったほうがいい課題について話し合います。来期の予算取り・体制作りを視野にしたもので、少し長い目線で話すことで、多くの課題と優先度をつけていくようにしています。

目標設定・評価

「正しい評価」より「当人の納得」を得れるよう伝え方や話し方を工夫する。良し悪しではなく、会社が期待する方向性と当人の方向性を1on1で合わせていくことを意識する。会社の期待=会社目標に対しては、やらされ感を低減・なくしていくために、WHY=なぜこの目標なのか?を丹念に説明する必要がある。また、目標から当人が得られるなにか?=納得感を真剣に考えてもらう様、対話を通じて質問を行い引き出す必要がある。 

 

私も過去MINDSというMicrosoftが主催する「異業種連携によるミレニアル世代の働き方改革推進」活動に参加した際に「評価」というテーマについて取り扱いましたが、そこでも当人の納得感は非常に重要なファクターとして取り上げられており、会社の期待・方向性を事前にメンバーをよく話、理解を深めることで「私の評価が不当に低い」といったような、認識のずれをなくしモチベーションを高めていくことに繋がる考えられます。

能力開発・キャリア支援

「7・2・1の法則」について、経験学習=7割の部分について1on1ではサポートを行います。具体的には、当人が計画し実施したことについて振り返り、改善に向けた課題や評価すべきポイントを見つめること。そして、それを資料化や説明により定量化したり他者に見て評価してもらうことで、定着化し次の学びにつなげていくことを考えていく。また、当人が無自覚で発揮した能力について、フィードバックを行い当人の気づきを促す。

 

私も地頭(じあたま)が良い方ではないですが、数多くの経験、もっというと数多くのチャンスとチャレンジをさせていただいたからこそ今の自分があると考えています。7・2・1の法則にあるように、経験学習は非常に大きいウェイトを締めており、大半が仕事・業務に当たると思いますので、1on1のなかで能力やキャリアを伸ばす働き方、課題、突き詰めると方針転換(部署異動も含む)を話していくことでメンバーの成長を考えています。

戦略・方針の伝達

逆ほうれんそうを心がけ、組織上の上下の橋渡しとして、上の決定事項をタイミングよくわかりやすくメンバーに伝える努力をする必要がある。自分はグループの代表である意識をもち、決定した事実をありのままに伝え、それに至るプロセス(背景・原因)を伝え、そこに自分の思いを付加価値として付与し伝える。

 こちらはそのまま実践するのみです。ポイントはなるべく早めの行動が良いとおもいます。時間がたち、例えば同じ事柄を別の人間からメンバーに伝わってしまうと、適切な情報連携が行われていないかのような感覚をメンバーが持ってしまう恐れもあります。

1on1のプロデュース

1on1を実施するに当たり、企画運営は自身で行っていく必要があります。

まずは、スケジュールリングを大事にすることです。メンバーの合意をしっかり取った上でスケジュールを登録します。また、1on1は定例ではなくイベントであり、名前なども工夫しマンネリ化を防止していく工夫が必要です。私は「○○の時間」と徹子の部屋の様に、メンバのための時間であることを明示できるようなMTG名にわざとしています。

 

次に時間配分です。私は長々やらずでも短すぎない30分程度から開始してみています。私の時間割は以下のように4分割しながらすすめるよう心がけています。

必須テーマ(体調確認・前回のおさらい)と、会毎のテーマ二分けて進めています。

 

時間 内容
~5分 アイスブレイクと体調確認
~10分 前回のおさらいと承認
~25分 今回のテーマ
~30分 今回のまとめとアクションプラン(宿題)の確認


場所・空間についても重要です。外的要因によりなかなか直接会って話す場を作るのは難しい状況であり、ZoomなどのTV会議での実施は致し方ない状況ではありますが、少なくとも自分自身は顔が見えるような形で実施することで相手にもちゃんと話を聞いていることを伝える努力をする必要があります。

 

これだけはダメ!相手のモチベーションを下げてしまうポイントについて

1on1の中で私自身もあとから悔やんだもの、グッと堪えるべきポイントを紹介します。

  • プライベートを無理に聞き出すこと
  • 相手に納得を求めること
  • 自分のアイデンティティの誇示をしないこと
  • ダメ出し・指示・指摘・正論語りを自らしないこと

これらは極論、上司当人のモチベーションにつながるものであり、1on1の意図に沿っていないものになります。ですが上司や先輩である立場に慣れてしまうと非常に無意識に出てきてしまう部分だと思います。そのため1on1を実施する場合は本当に意識してこらえるようにする必要があります。

1on1での心構えについて

1on1が固く・難しいものではなく、より楽しく前向きに行える様になる3つの心構えについてご紹介します。

5勝5敗で良いと思うこと

毎回完璧かつ充実した1on1にならなくても良いと思うこと。理想を追い求めすぎ、互いのストレスになってしまっては元の木阿弥です。「良し悪し」をすぐ判断し一喜一憂するのではなく長い目で見て、半々くらいで十分効果あるものだという心構えで行く。

カッコつけなくていい

模範であらねばという思いは捨て、メンバーとは対等であることを念頭に接し、互いの意見を対等の立場で話して楽しく実施できることを目指そうと良いと思っています。

 

 

最後に

私はまだ駆け出しの管理職ですが、1on1について感じた私の思いや効果、その実施方法についてまとめてみました。働き方やコミュニケーションが大きく変わってきている世の中で、自分・メンバー・組織ともに成長していく1つのツールとして1on1を今後も活用していきたいと思います。また、合わせて当記事が少しでも同じ境遇・立場の方の役に立てたなら幸いです。